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循環器内科

再灌流傷害という心臓の“病気”を知っていますか?

市立病院発の『急性心筋梗塞の新しい治療法』

さいたま市内の中核病院の循環器担当として救急・急性期医療に力を入れています。そのため年間を通じてオンコール体制で24時間、緊急入院や緊急手術に対応しています。心臓病の多くが生活習慣病であるため、退院後も定期的な通院加療が必要となります。このため、症状の落ち着いている慢性期・安定期はかかりつけ医であるクリニック・医院の先生方と密接な連携を通じて日頃の診療をお願いする病診連携制度を積極的に取り入れています。
常勤医師は6名で日本循環器学会指定循環器研修施設、日本心血管インターベンション治療学会指定研修施設、不整脈専門医研修施設、植え込み型除細動器認定施設、両心室同期ペースメーカー移植認定施設、ローターブレーター認定施設に指定されています。

入院診療はHCU7床、一般床35床の固有床を中心として、ICU4床や医師会との開放型病棟と連携して行っています。対象疾患は心不全、虚血性心疾患、急性大動脈解離、心臓弁膜症、肺塞栓症、感染性心内膜炎、心筋炎、不整脈などが主ですが、時に特殊な症例もあり、随時、学会・研究会などを通じて発表しています。
毎朝、8時過ぎより心臓血管外科との合同カンファレンスを行い、個々の病状経過や前日夜間の緊急入院症例、事務連絡など密接な情報交換・共有を行っています。
治療・検査は日本国内で行われる標準的なものは全て行っています。代表的なものは急性肺水腫に対する非侵襲的陽圧呼吸(NPPV、ASV)、急性心筋梗塞や狭心症に対する冠動脈形成術(PCI)、電気生理学的検査・カテーテルアブレーション、恒久的ペースメーカー移植術・植え込み型除細動器(ICD)移植術・両心室同期ペースメーカー(CRT-P)移植術で、冠動脈以外の末梢血管形成術(腎動脈狭窄、下肢の閉塞性動脈硬化症等)も積極的に行っています。

医療設備:冠動脈造影室、血管内超音波装置、経皮的心肺補助装置(PCPS)、大動脈バルーンパンピング(IABP)、電気生理学的検査、心エコー図検査(2次元および3次元経胸壁心エコー、経食道心エコー、ドブタミン負荷心エコー図検査、心臓CT(MDCT)、心臓MRI、トレッドミル負荷心電図検査、心臓核医学検査 など

副院長 小山卓史
(日本内科学会総合内科専門医・指導医、日本循環器学会認定専門医、慶應義塾大学医学部客員准教授、埼玉医科大学医学部非常勤講師、日本心臓病学会心臓病上級臨床医)

■診療責任者
部長 石川士郎
(日本心血管インターベンション治療学会専門医・指導医)

■スタッフ
科長 神吉秀明
(日本循環器学会循環器専門医、日本内科学会総合内科専門医・指導医、慶應義塾大学医学部客員講師(内科学)、日本心エコー図学会評議員)

科長 秋間 崇
(日本循環器学会循環器専門医、日本内科学会認定医・指導医、日本心血管インターベンション治療学会専門医、死体解剖資格認定医、日本不整脈学会-日本心電学会認定不整脈専門医)

医長 宗形昌儒(日本循環器学会循環器専門医、日本内科学会認定医)

医長 宮本和享

(1)虚血性心疾患(狭心症、心筋梗塞)

心臓は全身に血液を介して酸素と栄養を送る臓器で休むことなく拍動を続けています。健常な方の心拍数は安静時で60~80/分で、24時間で約10万回拍動します。心臓そのものも大量の酸素と栄養を必要とするため、心臓の表面には網の目のように張り巡らされた心臓そのものを栄養する血管(冠動脈)があります。冠動脈に動脈硬化が生じて狭くとなると狭心症が生じます。心筋梗塞とは冠動脈が突然つまってしまう状態です。狭心症は安静にすることにより胸痛が収まりますが心筋梗塞は安静にしても症状は収まりません。場合によって突然死を招くこともあり、迅速に病院での治療を受ける必要があります。狭心症の発作は他人には説明しにくいもので、「何かこの辺りが~」と明確に場所を指さしできないところが特徴です。冷や汗がでるようなら重症発作の予兆の可能性が高いので救急車を要請した方が無難です。労作性狭心症など時間に余裕がある場合は冠動脈CTやトレッドミル運動負荷試験をおこなうことで外来の段階で冠動脈病変の詳細につき患者さんにお話しすることができます。心筋梗塞の患者さんには早期より心大血管リハビリテーションを行うことで早期社会復帰を目指しています。

(2)心不全

心臓のポンプ機能が著しく障害された場合に生じる状態です。心筋梗塞・心臓弁膜症・高血圧や心筋炎・心筋症・不整脈などが原因となります。ゆっくり進行する場合には足のむくみや運動時の息切れなどで気がつきますが。急速に進行する場合にはむくみが肺にまで及んで呼吸困難に陥ります。救急車搬送を要することも多い疾患です。息切れが自覚症状の代表ですが「横になると息がつらく座ると楽になる」といって早めに来院される方もおられます。心不全でこのような症状が出る場合には体重が増加している場合が多いです。
入院期間の前半は治療に主体を置き、後半は原因となった基礎心疾患の診断に主体を置きます。正確な診断のために心電図検査や心エコー図検査などを行います。時には心臓カテーテル検査で冠動脈の評価や治療が必要となることがあります。重症例に対しては心臓再同期療法(両心ペーシング)を行っています。再発を予防するために、塩分制限をはじめとする食事指導や内服薬の調整を行います。

(3)不整脈

心臓は規則正しく拍動することにより全身に血液を送り出す臓器です。このため運動時や緊張した時には脈拍が速くなり、安静時や睡眠時には脈拍は遅くなります。不整脈とは突然に必要以上に脈拍が速くなったり遅くなったり、或いは乱れたりする病気です。
速くなる不整脈を頻脈、遅くなる不整脈を徐脈といいます。頻脈性不整脈には薬物治療、カテーテルアブレーション治療などを行います。徐脈性不整脈に対してはペースメーカー治療を行っています。心室頻拍や心室細動などの重症不整脈で必要があれば植え込み型除細動器(ICD)の植え込みを行っています。退院後はペースメーカー/ICD外来でフォローアップを行います。

(4)急性大動脈解離

心臓と全身の臓器をつなぐ大動脈に亀裂が入る病気です。突然に発症することが多く、強い胸痛や背部痛を自覚します。時に移動性で、強くなったり弱くなったりすることもあります。「何時何分に何をしていた時に発症した」と、患者さん本人がはっきり覚えているほど突然発症することも特徴の一つです。重症化すると突然死することも多い、きわめて緊急性の高い疾患です。救急外来で心臓超音波検査、緊急造影CTを使用して発症部位や重症度を迅速に診断することが必要です。緊急手術が必要なことも多く心臓血管外科とタイアップして治療にあたります。入院後は集中治療室で厳重な管理のもと心大血管リハビリテーションを開始し、早期社会復帰を目指します。

(5)肺塞栓症、深部静脈血栓症

肺は空気中の酸素を取り込む臓器です。血液中の酸素濃度を効率よく取り込むために全身の静脈がつながっています。肺塞栓症とは肺の血管がつまる病気です。多くの場合、足や腹部の静脈内に生じた血栓(血の塊)がつまる(塞栓=栓で塞ぐ)ことにより生じますが、まれに腫瘍が塞栓して生じることがあります。「突然に息が苦しくなった、胸が痛い」といって受診することが多いです。ほとんどの方が救急搬送されてきます。時に重症化し、危篤状態になる方もいます。造影CT検査、下肢静脈エコー図検査、肺血流シンチなどで診断を行います。治療は酸素投与と点滴、内服が主体ですが、時に下大静脈フィルターの留置が必要になります。退院後は最低半年間の抗凝固療法を行いますが、用いる薬剤の種類によっては納豆や緑黄色野菜の摂取制限が必要となります。

(6)心臓弁膜症

心臓の出入り口には弁膜という逆流防止弁がついています。この弁膜が壊れたり硬くなったりして生じるのが心臓弁膜症です。かつてはリウマチ性の弁膜症が多かったのですが、最近は動脈硬化性の弁膜症が増えています。軽症の場合は投薬は不要ですが重症化すると息切れなどの心不全症状があらわれることがあります。心エコー図検査が最も効果を発揮する分野の疾患です。定期的な検査を行いつつ手術を適切な時期にお勧めしています。また感染性心内膜炎といって細菌が心臓弁膜に付着して急速に心不全に至る重篤な方もおられます。

■ おもな検査・治療機器

(1)心エコー図検査(経胸壁)

超音波(エコー)を使って心臓の様子を見る検査です。聴診器をあてるような感覚で簡便に心臓の動きを観察することが可能で心筋梗塞や心不全などの経過観察に役立ちます。無侵襲(針を使用しない)で副作用が全くないためあらゆる現場で行われ、繰り返し行います。

(2)心エコー図検査(経食道)

一般的に心エコー図検査というとプローブという機械を胸にあてて心臓を観察するものですが、経食道心エコー図検査は心臓のすぐ後ろを通っている食道から心臓を詳しく観察するものです。胃カメラそっくりの管の先に超小型のプローブがついており、それを食道に挿入して心臓を観察します。一般的な心エコー図検査に比べはるかに鮮明で細かい映像がえられ、心臓弁膜症・先天性心疾患・感染性心内膜炎の診断や手術前の病態評価に使われたり、心臓内に血栓がないか探したりするときに使われます。経食道心エコー図検査の手順は胃カメラ検査とほぼ同様におこなわれます。喉の麻酔をおこなったあと、口から管を挿入して心臓を観察します。検査時間は概ね30分です。喉の麻酔はしばらく残っていますので、検査後約2時間は食事制限が必要です。

(3)ホルター心電図

発作的生じる動悸や胸痛といった症状は、(発作を生じていない)検査中に診断することは大変困難です。心臓が原因の場合には発作時には必ずと言ってよいほど何らかの心電図変化が生じます。この事象を逆手にとって心電図を着けたまま日常生活を送っていただき、動悸や胸痛の際にどのように心電図が変化しているのかを解析します。一般的に検査は24時間を原則としています。このため連続2日間にわたり来院していただく必要があります。

(4)血圧脈波検査(ABI)

閉塞性動脈硬化症と言って動脈硬化が進んで手足の血管が狭くなる病気があります。多くの場合、歩行時の足のだるさを訴えて来院されますが、この際に重要な役割を果たすのが血圧脈波検査(ABI)です。手足の動脈を同時に測定するだけなのですが、血管の狭窄度のほかに動脈の硬さを図ることもできます。このため初めて受診される方の動脈硬化指数を判定する際にも役立ちます。

(5)運動負荷心電図検査

狭心症のほとんどは労作性狭心症といって、何か運動をして心拍数が増加した際に生じます。「朝の通勤途中の駅の階段を昇るときに胸が押されるような感じがする」といって来院される方が典型例です。このような方に安静時の心電図を記録しても全く異常は認められません。運動負荷心電図検査では病院内で心電図を装着して安全な範囲内で運動していただき狭心症発作の際の心電図変化を記録させていただきます。また運動中に発生する不整脈の診断や心不全のコントロール状態を把握する目的にも行います。当院ではトレッドミル運動負荷装置といってルームランナーのような装置を使用しています。

(6)心臓核医学検査(シンチ)

心臓核医学検査とは「心臓の代謝」を調べる検査です。ラジオアイソトープという特殊な薬剤(放射性同位元素)を用いて心筋細胞の代謝を体の外側から目視化することが可能です。心臓カテーテル検査は「冠動脈の狭窄度」、心エコー図検査は「心臓の動き」、電気生理学検査は「心臓の電気信号」を調べる検査ですが、心臓核医学検査を併用することにより様々な病態を知ることができます。心臓カテーテル検査やCT、MRIは造影剤を使用する必要があります。腎臓の状態が悪い方などには造影剤は慎重投与が望まれますが、一方で、心臓核医学検査はそのような制限がなく、かつ、非常に信頼性の高い結果が得られるために心機能を知るためのゴールデンスタンダード的な位置を占めています。

(7)心臓CT検査

狭心症の確定診断には冠動脈造影検査が必要ですが、合併症が皆無ではないため本当に必要な方にのみ限定すべき検査といえます。近年のコンピュータの発達により狭心症の診断ステップが著しく変化しました。その立役者が心臓CT検査といえます。X線や造影剤を使用するところは心臓カテーテル検査と同様ですが、静脈に点滴用の針を刺すだけでできるところが大きな特徴です。CT検査装置そのものも毎年のように発展していて、現在ではかなりの信頼性がおけるようになりました。狭心症はあるものの症状自体は切迫しておらず外来で通院しながら診断のステップを踏める方の場合にはとても有用な検査です。ただし、心臓CT検査では治療は行えないため、治療が必要と判断された場合は心臓カテーテル検査が必要となります。

(8)心臓MRI検査

上述のCTと同様に進歩が著しい分野の装置です。心筋梗塞や心筋炎などの心臓の筋肉の障害の程度を正確に評価することが可能です。計測時間が長いのが難点ですが、退院後の慢性期の定期検査の一端として重要な役割を果たします。

(9)冠動脈造影検査 および 冠動脈形成術 (心臓カテーテル検査)

狭心症や心筋梗塞の確定診断のためにおこなう検査で心臓カテーテル検査と総称されることもあります。手首や足の付け根の動脈内にカテーテル(プラスチック製の柔らかいチューブ)を直接心臓までもっていってX線装置と造影剤を使用しつつ行います。実施のためには入院が必要です。検査入院の方は検査前日から合計3日間の入院をお願いしています。冠動脈形成術とは、上述の冠動脈造影検査で狭いところが見つかった場合に行う治療法です。当院では年間500例の心臓カテーテル検査、250例の経皮的冠動脈形成術を行っています。予定入院の方は検査入院の方と同様に合計3日間の入院ですが、急性心筋梗塞で緊急入院となる方の場合は10日から14日間の入院が必要となります。これらの検査・治療は24時間・365日体制で対応しており緊急性の高い場合には休日や夜間でも実施しています。術中には血管内超音波検査(IVUS)も駆使してより安全で確実な方法でおこなっています。 また血圧が不安定でご自身の心臓だけでは血圧を保てない場合には対外式心臓補助装置(IABPやPCPS)を装着して急性期治療にあたります。

(10)電気生理学的検査 および カテーテルアブレーション

不整脈の確定診断のために行う検査です。不整脈の発作頻度が多く薬剤でのコントロールが困難な場合に行います。手や足、首の付け根からカテーテルを心臓まで持っていくところは心臓カテーテル検査と同様ですが、カテーテルの先端に電極がついているところが異なります。心臓の内側から心電図を記録することによって不整脈の詳細な解析が可能となります。症例によってはアブレーションカテーテルを用いて不整脈そのものを根治することが可能となります。不整脈発作で救急外来を受診することの多い患者さんにお勧めしています。入院期間は最短で3日間です。

(11)恒久的ペースメーカ-移植術

不整脈はいくつかの分類方法があります。例えば「速い不整脈」と「遅い不整脈」、「危険な不整脈」と「危険でない不整脈」、「持続する不整脈」と「一瞬のみ生じる不整脈」、あるいは「規則正しく連発する不整脈」と「脈が乱れる不整脈」などです。ペースメーカーが必要となるのは、「危険」で「遅い」不整脈です。心臓は心筋細胞という筋肉の塊でできていますが、これらの細胞群(作業心筋)が規則正しく一斉に動く(収縮する)ように電気回路のような特殊な細胞があり刺激伝導系と云われています。この刺激伝導系に障害がおこると作業心筋には一切の障害がなくても心臓は動くことができません。自動車に例えてみるとの作業心筋はエンジン、刺激伝導系はアクセルのようなものです。恒久的ペースメーカー移植術の対象として最も多い「完全房室ブロック」は刺激伝導系の中間地点(房室結節)に障害が起きている状態で、車に例えるとアクセル・ワイヤーの断裂のようなものです。これでは運転手がアクセルを踏んでも車は一向に動きません。この障害された刺激伝導系の代わりの役割を果たすのが恒久的ペースメーカーです。通常は左の鎖骨の下、数cmの皮膚切開を加えて皮下に本体を植え込みますが、本体の先にリードという電極がついていて、静脈に沿って心臓に留置します。入院期間は1週間から10日間です。

(12)植え込み型除細動器(ICD)移植術

昨今、救急救命法が盛んになり、AED(体外式除細動器)という名前を耳にした方もおられると思います。ICDとは植え込み型の除細動器でAEDをとても小さくしたようなものです。心筋梗塞やブルガダ症候群などの特殊な病気で心室細動や心室頻拍といった「速くて」「危険な」不整脈をおこしたことのある方や、これらをおこす危険性が高い方に行う治療です。発作時に自動的に電気ショックをかけることができます。形は恒久的ペースメーカーに似ていますが、一回り大きなものとなります。入院期間は1週間から2週間です。

(13)両心室同期ペースメーカー(CRT-P)移植術

心不全が重症化して心臓の収縮のバランスが崩れた状態の方が対象となる特殊なペースメーカーです。左右タイヤのバランスが崩れてしまった車のホイール・バランスをとるようなものです。植え込むリードが1本多いため、恒久的ペースメーカーより若干大きめとなります。またICD機能の付いた装置(CRT-D)もあり、これはICDとほぼ同じ大きさとなります。移植術自体の入院期間はICDと変わりませんが、このような装置が必要となる患者さんの状態は決して良好ではないため、より長めの入院期間を設けています。

平成29年度、循環器内科の入院患者数は1027人で平均在院日数は10.2日でした。
入院患者の内訳は虚血性心疾患(狭心症、心筋梗塞)419人、心不全318人、不整脈(心房細動、房室ブロック、洞不全症候群等)148人でした。

平成29年度の治療件数は下記のとおりです。

冠動脈インターベンション
待機的症例 139 件
緊急症例  91 件
   
カテーテルアブレーション 74 件
ペースメーカー新規植え込み 33 件
両室ペーシング(心臓再同期療法)  2 件
     

 

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